日々読書メモ

大学で受けた授業をきっかけに太宰治を好きになりました。最近はもっぱら太宰です。自分が読んだ本の紹介(ネタバレ有)、感想、考察等書いてます。もちろん太宰以外でも書きますよ(^^)京都が好きなのでそれについても書いてます。

「畜犬談」を読んでみた

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↑ウチの犬です

 

太宰治「畜犬談」を読みました。

電車に乗ってる間に読めました。

 

このお話は犬に対する

太宰の盛大なデレでした。

 

もう所々面白すぎてめっちゃ笑いながら読みました。

「お前は一体何を言っているんだ」って何度突っ込んだか…。

 

だってまず最初に、

 

私は、犬については自信がある。いつの日か、かならず喰いつかれるであろうという自信である。

 

とか言ってるんですよ。

「な〜にを言っとんじゃ」ってなりますよ。

 

そしてこれでもかというくらい大袈裟に犬の恐ろしさについて語ります。

 

例えば、

 

こちらが何もせぬのに、突然わんといって噛みつくとはなんという無礼、狂暴の仕草であろう。

 

…いや、まぁそうやけど。この言い方大袈裟すぎやろ笑。

 

ここまで犬を恐れ嫌った太宰は

犬対策を考えます。

 

この対策もなかなか面白いんです。

 

あわれな窮余の一策である。私は、とにかく、犬に出逢うと、満面に微笑を湛えて、いささかも害心のないことを示すことにした。

 

これただの犬好きなおじさんです。

 

この対策は一応効果ありました。

しかし、

 

ただ行き当りばったり、むやみやたらに御機嫌とっているうちに、ここに意外の現象が現われた。私は、犬に好かれてしまったのである。尾を振って、ぞろぞろ後についてくる。私は、じだんだ踏んだ。じつに皮肉である。

 

と、まさかの犬に好かれるという。

まぁ確かにいつもニコニコしてたら犬も嬉しいやろなぁ〜。

完全に空回りしてます。

 

話を戻すと、ある日一匹の子犬が太宰の家までついてきて、住み着いてしまいます。

追い払って反撃されるのは怖いから、取り敢えず家で飼うことにしました。

名前は「ポチ」。

 

相変わらず太宰は「犬嫌い怖い無理」って言ってるのですが…

 

憎いやつであるが、これも神様の御心によってこの家へ迷いこんでくることになったのかもしれぬと、縁の下に寝床を作ってやったし、食い物も乳幼児むきに軟らかく煮て与えてやったし、蚤取粉などからだに振りかけてやったものだ。

 

思った以上にちゃんと世話してます。

ツンデレかな?

 

そこまでしてくれたらポチも懐いて太宰にじゃれかかります。

 

「こういう冗談はしないでおくれ。じつに、困るのだ。誰が君に、こんなことをしてくれとたのみましたか?」
と、私は、内に針を含んだ言葉を、精いっぱい優しく、いや味をきかせて言ってやることもあるのだが、犬は、きょろりと眼を動かし、いや味を言い聞かせている当の私にじゃれかかる。

 

仲良しです。

 

奥さんとの会話でも

 

「だめだ。僕は、可愛いから養っているんじゃないんだよ。犬に復讐されるのが、こわいから、しかたなくそっとしておいてやっているのだ。わからんかね」
「でも、ちょっとポチが見えなくなると、ポチはどこへ行ったろう、どこへ行ったろう、と大騒ぎじゃないの」

 

と、ポチとの仲良しぶりがわかります。

 

しかしある日三鷹の家に引っ越すことが決まり、その時「ポチ」は置いていこうと決めました。

 

そんな矢先、ポチは皮膚病にかかってしまいます。見るも無残でした。

 

奥さんはそんなポチを見てご近所に悪いから殺してくれと頼みます。

 

「殺すのか」私は、ぎょっとした。「もう少しの我慢じゃないか」

 

流石に太宰もそれは止めました。

 

しかし、三鷹に引っ越すのが向こうの事情で延期、延期と先延ばしにされ苛立っていた太宰は布団にポチのノミを見つけた途端とうとう殺すことを決意します。

 

急いで奥さんに薬を買いに走らせ、その薬を混ぜた餌を持ちポチを散歩に連れ出しました。

 

「心得ている。ポチ、来い!」
ポチは尾を振って縁の下から出てきた。
「来い、来い!」私は、さっさと歩きだした。きょうは、あんな、意地悪くポチの姿を見つめるようなことはしないので、ポチも自身の醜さを忘れて、いそいそ私についてきた。

 

太宰はポチとの最後の散歩を精一杯しました。

 

そしてとうとう餌をあげる時。

食べたらすぐに死ぬくらいの量の薬が入っています。

ポチの食べてる姿を見ることが出来ない太宰は、さっさと歩き出してしまいました。

 

振り返るまいと思っていましたが、一度だけ、と振り向くと、そこにポチがいたのです。

 

薬は効かなかった。ポチは死ななかったのです。

 

「だめだよ。薬が効かないのだ。ゆるしてやろうよ。あいつには、罪がなかったんだぜ。芸術家は、もともと弱い者の味方だったはずなんだ(中略)弱者の友なんだ。芸術家にとって、これが出発で、また最高の目的なんだ。こんな単純なこと、僕は忘れていた。僕だけじゃない。みんなが、忘れているんだ。僕は、ポチを東京へ連れてゆこうと思うよ。友がもしポチの恰好を笑ったら、ぶん殴ってやる。(省略)」

 

太宰は物語中、犬に噛まれた哀れな友の話を何度もしていたのですが、それと対比になって、ポチを馬鹿にするなら友でも許さないと言っています。

 

結局犬を嫌いと言いながらもポチを愛してしまった。それだけのお話です。

 

まとめれば最初に言ったように

盛大なツンデレの話です。

 

しかしこの話面白いところはずっとギャグ調できていたのに最後の最後はなんだか胸が切なくなりました。

 

ギャグ調からシリアスに落とす手法には弱いので特にです(「銀魂」や「劇場版クレヨンしんちゃん」にも使われる手法ですよね)。

 

軽いノリからいきなり重くなるから余計重く感じる、というのがよくわかってると思います。

 

しかし、これは私のめちゃくちゃ勝手な予測なんですが、これってかなり脚色された話じゃないのかな〜って思います。

 

太宰がよく使うモデルはあるけど大幅変更あり的な。

 

多分

普通に犬可愛がってたと思います。

 

しかし、それを面白おかしく書くのが太宰。

 

太宰スタイルがわかりやすく描かれてた作品だな〜と思いました。

 

とにかく犬好きの私としてはちょっと胸が痛かったけど面白く読めた作品でした(^^)