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日々読書メモ

大学で受けた授業をきっかけに太宰治を好きになりました。最近はもっぱら太宰です。自分が読んだ本の紹介(ネタバレ有)、感想、考察等書いてます。もちろん太宰以外でも書きますよ(^^)京都が好きなのでそれについても書いてます。

「このワガママな僕たちを」「あの空は夏の中」

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銀色夏生さんの「このワガママな僕たちを」という詩集を久しぶりに読みました。

 

なんで読み返そうかな〜と思ったかと言うと、本の山で腐海の森と化していた部屋を片付けたら出てきたというのが理由の一つです。

 

銀色夏生さんは母が好きで家に沢山詩集があり、中学生のときずっと読んでた記憶があります。

 

もう一つ理由は、

「そして僕は途方に暮れる」を聴いたからです。

 

「そして僕は途方に暮れる」は作詞が銀色夏生さんの歌なのですが(日清のCMソングでした)とても良い歌で、聴いた時に「あ〜もっかい読み返したいな〜」って思い、読み返しました。

 

それにしても「そして僕は途方に暮れる」はとても良い歌ですね〜。

 

この人の詩を読むと改めて

日本語の美しさというものに気づきます。

 

英語では決して表現出来ない繊細さ、美しさ、心地よさというものが日本語にはあると思います。

 

まず言葉の数が多い。

 

とても繊細な、掴みにくい人の心の動きを美しく表現することができます。

 

例えば、「このワガママな僕たちを」にあるこの詩とかどうでしょう。

 

「雨でいっぱいの胸」

彼はマーブルの台の上で小首をちょこんと傾けて、窓辺につってある鳥かごの中のウグイスの鳴き声にきき入っていました。それから彼はマーブルの台の上の紅茶のカップを近づけてスプーンでひとすくいすくいあげ、表面張力を観察してからもとにもどしました。

おこる人は嫌いだ…

彼はマーブルの台の上の手紙をもういちど読みなおし、かなしくなってチリ箱の中にすてた。

この女の子も嫌いだ…

雨がビービー降って8階のガラスは水びたしだった。

人を悲しませるものって、何だろう。

おこるっていうことは傷ついたということかな。

僕はあの人を傷つけたのかな。

どうしてみんながかなしみに対して、バラバラなんだろう。

 

ガラス戸をあけると空気はつめたかったけど雨は思ったほどではなくて、遠くの街並がかすんで、顔や手に小さな雨つぶがあたって、車の音がだんだん大きくきこえて、また小さくなって、すべてが灰色で空は白で、すべてが灰色で空は白で、遠くがぼやけてすべてが雨で、胸が痛くて甘かった。

 

 

この表現凄くないですか?!

恋の切なさ、人を傷つけることの痛さ等、非常に繊細な細かい心をラストの一言で全部表していると思います。

 

そしてそこまでの前フリも見事です。

彼の状況、感情等が細かく、ですが大雑把に書かれているから最後の言葉が生きるのだと思います。

 

また日本語の凄いところは

ブツ切り芸であるとも思っています。

 

ブツ切り芸(勝手に私がそう呼んでる)は、言葉を細かく切ったり、あえて句読点を全く使わなかったりして、胸から溢れるもの、抑えられない感情などを表すものと勝手に思っています。

 

あとこの人の詩はいいな〜と思ったのは、「あの空は夏の中」の最後の詩。

この詩集は割と長めの詩が収録されているのですが最後の詩はとてもシンプル。

たった一行で。

 

伝えたい気持ちがたくさんあります

 

これだけです。

ここまで色々長いこと語っていましたが、結局言いたい事はこれだけ。

 

でもこの一言が生きるのはここまでたくさんの感情を表したからです。

 

読み返しててホントに

銀色夏生さんすげえ

やっぱり日本語は美しいくらいしか出てきませんでした。

 

他にも銀色夏生さんの本沢山出てきたので読めたら書きたいな〜と思います(^^)

 

ではでは〜(^^♪