日々読書メモ

大学で受けた授業をきっかけに太宰治を好きになりました。最近はもっぱら太宰です。自分が読んだ本の紹介(ネタバレ有)、感想、考察等書いてます。もちろん太宰以外でも書きますよ(^^)京都が好きなのでそれについても書いてます。

「恥」を読んでみた

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はい、久しぶりの更新です。

 

今回は太宰治「恥」を読みました。

 

この話めっちゃ短かったのですぐに読めました〜。

しかも面白かった…。

 

これどんな話かというと、まず、パンドラの匣みたいに友人に宛てた手紙で話が成り立っています。

 

パンドラの匣」の記事はこちら↓

yonnsann.hatenablog.com

 

 

で、話の内容なのですが…、

 

簡単にいうと、

 

イタイ女性ファン

 

の話でした。

 

あらすじ&ネタバレは以下の通りです↓

 

という小説家は自身を貧乏で、禿げていて、汚くて女好きで大変卑しい男だと著書で綴っております。

そんな戸田に、「私」は次のような手紙を送ります。

 

貴下は御自分の貧寒の事や、吝嗇の事や、さもしい夫婦喧嘩、下品な御病気、それから容貌のずいぶん醜い事や、身なりの汚い事、蛸の脚なんかを齧って焼酎を飲んで、あばれて、地べたに寝る事、借金だらけ、その他たくさん不名誉な、きたならしい事ばかり、少しも飾らずに告白なさいます。

 

手紙全体の内容としては「貴女の女性ファンなんていないでしょうけど私は読んでいます」みたいな感じです。

 

この時点でかなりイタイのですが、「私」はさらに恥(黒歴史)を塗り重ねていきます。

 

「私」が手紙を送ってすぐに発表された戸田の小説の主人公がなんと「私」にそっくりだったので「私」は驚きまた戸田に手紙を書きました。

 

 今月の『文学世界』の新作を拝見して、私は呆然としてしまいました。本当に、本当に、小説家というものは油断のならぬものだと思いました。(中略)貴方は将来有望の志だと思います。

 

…そして、「私」は戸田に会いに行こうと決意します。

なんせ戸田は貧乏でみすぼらしいのですから「私」も敢えてみすぼらしい格好をして、彼に合わせます。また、病気だとも聞いたので毛布を持っていってあげることにしました。

 

そして、彼の元へ訪れるのですが…

 

戸田さんのお家は、長屋ではありませんでした。小さいけれども、清潔な感じの、ちゃんとした一戸構えの家でした。お庭も綺麗に手入れされて、秋の薔薇が咲きそろっていました。すべて意外の事ばかりでした。

 

そして中からは上品で落ち着いた奥さんが出てきました。

「私」の頭は困惑です。

 

そしてとうとう戸田本人に会うのですがこれも話が違います。

 

まるで違うのです。歯も欠けていません。頭も禿げていません。きりっとした顔をしていました。不潔な感じは、どこにもありません。この人が焼酎を飲んで地べたに寝るのかと不思議でなりませんでした。

 

「私」はそんな戸田の本当のすがたに絶望しながらも、何故自分をモデルにした小説を書いたのか問います。

しかし、戸田の返事は意外なものでした。

 

「僕は小説には絶対にモデルを使いません。全部フィクションです。だいいち、あなたの最初のお手紙なんか。」

 

戸田は「私」のことなんてまるで意識していなかったのです。

寧ろ手紙をもらったことすら覚えていませんでした。

 

「私」は仕方なく帰り如何に自分が恥ずかしい行為をしていたのか知り、そして小説家を憎むのでした。

 

 

…とこんな感じなんですが、これホントめちゃくちゃですよね笑

 

めちゃくちゃ要約するとイタイファンが勝手に会いに来てイメージと違ったっていって逆ギレする話です

 

この話で注目したいのが、何度も何度も「私」が言う、

 

小説家なんて人の屑よ。

 

です。

 

これ、太宰はどんな気持ちで書いてたんでしょうか。

 

確か、「葉」でも「兄」と「私」の話で小説について言及していました。

 

太宰は自身の生まれをあまり好ましく思っていないと思うのですが、小説家というのにも何か思うところがあったんでしょうかね。

 

「葉」の記事はこちらです↓

yonnsann.hatenablog.com

 

あとこれも結構イタイイタイイタイ!ってなったんですが、「私」が送った一通目の手紙に、

 

他の女の人には、わかりません。女のひとは、前にも申しましたように虚栄ばかりで読むのですから、やたらに上品ぶった避暑地の恋や、あるいは思想的な小説などを好みますが、私は、そればかりでなく、貴下の小説の底にある一種の哀愁感というものも尊いのだと信じました。

 

この「私は他の人とは違う」アピール鬱陶しいわ〜笑。

 

こういう人いますよね。そのへんもなんかリアルで面白かったです。

 

それに結局この「私」は作家が自分のイメージと違ったから嫌いになったって言っていますので戸田の小説が好きなわけではなかったのですね。

 

「戸田の小説を読んでいる私かっこいい」

 

ってだけだったんです。作品はどうでも良かったんです。

 

太宰ファンにもたまにこういう人はいると思うんですよね。

太宰治読んでる俺かっこいい」的な…。

 

恐らく太宰治のファンですってマジで言ってる人は皆太宰治は「面白い」「人を笑かしにかかってる」って言うと思います(完全な独断と偏見)。

 

作品を読んでいるのか、作家を見ているのか、そういうのすぐわかりますよね。

 

あと気になったのが、

 

 戸田さんが今月の『文学世界』に発表した『七草』という短篇小説、お読みになりましたか。二十三の娘が、あんまり恋を恐れ、恍惚を憎んで、とうとうお金持ちの六十の爺さんと結婚してしまって、それでもやっぱり、いやになり、自殺するという筋の小説。

 

この話ちょっと「斜陽」の途中の話に似てるな〜って思いました。

 

発行年で並べると「恥」の方が遅いのですが、こういう話好きなんですかね?

 

「斜陽」の記事はこちらです↓

yonnsann.hatenablog.com

 

もう一つ気になったのは、

 

僕は小説には絶対にモデルを使いません。

 

という戸田の言葉。

 

御伽草子」では「モデルないと書けへん」って言ってました。

 

一つ思ったのはこの戸田という小説家は太宰の憧れが具現化したものかもしれないということです。

 

戸田はキリッとした顔をしてて家も清潔で落ち着いた美しい妻を持っており机にはいかにもと言わんばかりに本が積み重ねられています。

 

よく考えると太宰とは真逆です。

 

だからバリバリ自分をモデルに小説を書いている太宰とは逆に、モデルを使わなず小説を書くということは太宰の憧れだったのかも知れません。

 

ですからそんな戸田に対して「私」というキャラクターを使って文句を言っていたのかもしれないですね。

 

しかし、ほんとこれ取り敢えず小説家を貶してますね笑

 

見つけただけでも、

 

小説家は悪魔だ!嘘つきだ!貧乏でもないのに極貧の振りをしている。立派な顔をしている癖に、醜貌だなんて言って同情を集めている。うんと勉強をしている癖に、無学だなんて言ってとぼけている。奥様を愛している癖に、毎日、夫婦喧嘩だと吹聴している。くるしくもないのに、辛いような身振りをしてみせる。私は、だまされた。

 

とか、

 

小説家なんて、つまらない。人の屑だわ。嘘ばっかり書いてる。ちっともロマンチックではないんだもの。普通の家庭に落ち附いて、そうして薄汚い身なりの、前歯の欠けた娘を、冷く軽蔑して見送りもせず、永遠に他人の顔をして澄ましていようというんだから、すさまじいや。あんなの、インチキというんじゃないかしら。

 

みたいにボロカス言ってます。

 

本当に太宰はこういう小説家に何か思うところがあったんですかね笑。

 

とにかく、これ本当軽く読めて面白かったんでおススメです(^^)

 

次こそは「人間失格」か「御伽草子」について書きたい…。

読み終わっているのですがあれ書くのに体力いりそうなんで先のばしにして書けずにいるんですよね…。

がんばります!

 

では!