日々読書メモ

大学で受けた授業をきっかけに太宰治を好きになりました。最近はもっぱら太宰です。自分が読んだ本の紹介(ネタバレ有)、感想、考察等書いてます。もちろん太宰以外でも書きますよ(^^)京都が好きなのでそれについても書いてます。

「彼は昔の彼ならず」を読んでみた

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今日も太宰です。つか「太宰治全集1」を一気に読んじゃったんでしばらく太宰です。

 

「彼は昔の彼ならず」は「太宰治全集1」に収録されている短編ですが、これは非常に私のタイプのキャラが出てきます。

 

一応話の流れをおおまかに説明すると、

 

り手である大家の「僕」の家に、青扇という男が住まわせてほしいと頼んできた。勿論家賃さえ払ってくれればいいと言ったのだが、お金はまた後日にしてほしいと青扇は言った。「僕」はそれを了承したが、青扇から家賃を払われる気配は全然感じられない。それもそのはずで、青扇は無職なのである。しかし「僕」は青扇の振る舞いに翻弄されながらも、次第に青扇にはなにか特別なものがあるのかもしれない、と思い始めるのである。

 

と、こんな感じなんですが、私この青扇がなんか愛しくて憎めなくて好きなんですよね~(笑)

 

この話一応「僕」が第三者に青扇について語るとこから始まるんですけど、その描写もおもしろいんです。

まず「僕」は全然関係ない家の周辺の景色やらご近所さんの情報から話し始めるんですよ。そこから段々青扇に焦点を絞って話を進めていくんですけど、これって「僕」が「青扇はその辺の平凡な奴らとは違うんや!」っていう主張なんですよね。実際

 

僕の君に知らせようとしている生活はこんな月並みのものではない。(「太宰治全集1」二二四頁)

 

って言ってもうてるし。あと、

 

僕は学生時代から天才という言葉が好きであった。(前出二三五頁)

 

ってあるように「僕」はなんか他の人とは違うんや!ってことを主張したいんやな~って思います。

 

そんでその青扇なんですが、なんというか、むちゃくちゃで「ちょ、おま、はあ?」ってなるんですけどなんか憎めないんでよね~。可愛い。どうみても青年っていう歳やのに「四十二歳です☆」って言い出すし。速攻で嘘ってバレてたけど。

他にも二人で酒飲んで酔いながら

 

「君を好きだ。」僕はそう言った。

「私も君を好きなのだよ。」青扇もそう答えたようである。

「よし。万歳!」

「万歳。」(前出二三八頁)

 

ってあほみたいなやりとりしてたり。めっちゃかわいない?

 

でもこれ最後に「僕」が

 

ふつうの凡夫を、なにかと意味づけて夢にかたどり眺め暮らして来ただけではなかったのか。竜駿はいないか。麒麟児はいないか。もうはや、そのような期待には全くほとほと御免である。みんなみんな昔ながらの彼であって、その日の風の工合いで少しばかり色あいが変って見えるだけのことだ。(前出二六八頁)

 

って言ってるんですよね~。ん~。面白い。

結局自分が勝手に勘違いしてたって気づくんですけど、何が面白いっておそらく青扇も自分で自分を勘違いしてたんでしょうな。(可愛い)

 

あほの子なキャラめっちゃ好きやから面白かったし、ホンマに最後の一行に書かれてる言葉が「おぉ…」ってなるからなかなか考えさせられる深みもあって良かったな~。

これそんな長くないし是非読んでみてほしい。そして誰か一緒に語りましょ。難しい話とか抜きで。 

 

ネタバレありで少し自分なりに考察したのがこちらです↓

「彼は昔の彼ならず」をもう少し読み込んでみた - 太宰治が好きになりました